(A)当たり前のことを、(B)ばかにせず、(C)ちゃんとやる。
ABC理論、ABC運動等の仕事に関する取り組み姿勢の話。
ではなくて、
Activity Based Costing(以下、ABC)。
最近読んだ「会社改造」って本に書いてあった原価計算の手法。
実話をもとにした本
本の舞台はミスミという金型商社。
昔からたまに雑誌とかで見かけて、ユニークな会社ってイメージが頭の中に残ってる。
創業社長もかなりやり手の方らしいけど、その後、引き継いだプロ経営者さんが超やり手で。14年間かけて、会社をまさに改造していく話。
この本の存在を知ったんは、5月末ぐらいの起業関連イベント。
元ミスミの守屋さんて方のトークショー。
年齢と同じ数だけ起業してきてるという、起業のプロ。これまた、すごい。
そのトークショーもかなり面白かったけど、その中で「会社改造」の本の話をしてはったんで、いつか読んでみたいなと思てた。
読んでみた感想
会社の本棚を見ると、「会社改造」が置いてあったんで、読んでみた。
感想としては、もう別次元の話。もっと言うと別の時空かなって感じ。
すごすぎて。
海外進出、会社買収、パートナーを巻き込んだ生産拠点の立ち上げ、点在していたコールセンターの集約等々。
関係無いとは言わんし、参考になることもいっぱいあったが、もう、こういう仕事に関わることは無いんやろなと。末端としてでも。
そんなことを思いつつも、それが寂しいとか言うてる間も自分には無い。
自分はとりあえず、家族5人がちゃんと食べていけるようにせなあかん。
それが一番大事。(by 大事MANブラザーズバンド)
ミスミは正しい改革を
もう関係無いなと思いながらも、本の中で感心したんがActivety Based Costingの導入。
読んで字のごとく、その製品を作る、売る、その後のフォロー含めて発生した活動を原価として割り振って、製品単位のほんまの利益が見えるようにする取り組み。
わしの前職(東証一部上場、電機メーカー兼SIer)では粗利ぐらいしか気にしてへんかった。
もちろん現場ではという意味やけど。
ただ、ミスミの三枝さんは、それじゃいかんと現場でのコスト見える化を推進したという。
粗利だけ見てたら見えへんことがいろいろあるからと。
売った時点では利益たっぷりって喜んでても、その後、コールセンターへの問い合わせがめっさ発生して対応コストがかさむとか。
作るのは安くできるけど、売るのがムツカシくて営業が何回も説明せなあかんとかとか。
売れたらデカいけど、たまにしか売れんくて、その間の保管料がめっさ高いとかとかとか。
そんな感じのことを書いてた。
たぶん。。。(本は会社に返してしまい、今は手元にない。。。)
まぁ、なんせ、粗利だけ見てたら、上に書いたようなコストが見えんから、会社としての判断を誤りかねんと。
実際、ABCで正しい原価を把握したら、エース商品/お荷物商品の認識がガラッと変わったとのこと。
退職理由(の一つ)
ひるがえって、前職では。
まー、もうむちゃくちゃやったな。
実体が赤字やってのは思いっきり周知の事実やのに、何とか数字をよく見せる工作が常態化してた。
もちろん、一部上場企業やからちゃんと会計士が見るわけやけど、正直、全部チェックできるわけやない。
とんでもない大きい赤字要因は隠しようがない。システムの開発失敗してリカバリに100人投入とか。
そこまで行くと、やむなく赤字処理をする。やむなくね。
でも、そこそこの赤字要因ぐらいやと追いきれんから、社員2名分の工数は別のプロジェクトに計上したり。
計画時点では3月末(前職の締め日)で支払予定やった協力会社さん(例えば締め日が6月末)への発注案件を、締め日が違うことをええことに先送りしたり。
なんとかごまかそうとする。
それを結構な上の立場の人が普通に言うてくる。
理由は一つ。
保身。
赤字プロジェクトは自分の評価のマイナスになるから。
逆に赤字プロジェクトを、数字上改善させたら褒められる。仮に原価を他のPJに飛ばしただけやとしても。
で、下の人間は本来赤字のプロジェクトを赤字でないように見せるためだけに、いらん事務処理したり、余計な報告書作ったり。
会社レベルで見ると、その工数がさらに赤字を拡大させてるわけなんやが。。。
社会的には何も生み出してへん仕事やし。
まぁ、こんなことしてたら、海外の会社とかには勝てんわな。
ミスミの三枝さんは、実際、海外の会社に勝つために取り組んだって書いてたが。
残念ながら、正しい原価を把握して、そこから改善していくことが会社のためになるなんて発想してる上層部はあんまおらんかった。
それに、そんな上層部が喜ぶための工作をしてる自分。とてもやないが、エンジニアと言える仕事やなかった。
こう書いてると、改めて辞めて良かったと思う。
そんなことに自分の貴重な人生の時間を使ってる場合やない。
「会社改造」みたいな大きなことはでけんが。
ちゃんと社会に貢献できるような仕事をしていきたい。
そのために。
がんばろー。
ほな。